Vol.80 退職 忘れた頃のバトル!
あんな会社、退職してせいせいした・・・と思っていたら突然舞い込むイヤーな呼び出し。
今週は辞めた会社との予想外のトラブルをご紹介しよう。ホント、辞め方は重要です。
「もうスッパリ縁を切るつもりで、完璧な引き継ぎをしたつもりでした」
Oさんは転職にあたり、少なからず上司から引き止められた。それを振り切っての退職だけに、ミスは許されなかった。仕事のやり方だけでなく、ちょっとした備品、資料の場所まで、引き継ぎ内容はすべて書面と共有ファイルにして会社のサーバーにあげておく念の入れよう。しかし、
「それでもくるんです。電話が」
退職後も「あの件はどうなってる」「誰に聞けばいい?」「あれはどこ?」・・・など元の上司からのちょこっと質問だ。それぞれは数分で終わる話なのだが、度重なるとイライラの元。
「分かっていてやっているとしか思えません。『次からは引き継ぎ書類を見て下さい』と言っているにもかかわらず、何度も何度もかけて来るんですから、単なる嫌がらせですよ」
携帯の電源オフやマナーモードで回避していたが、Sさん自身が仕事で使う事もあり、そうそう切ったままにもしていられない。かといって仕事中“私用”の通話が度重なると、周囲の印象も悪くなる。
「着信拒否にしようか、それともいっそのこと携帯番号を変えようかと悩んでいます」
でもそうしてしまうと、宣戦布告と受け取った上司が、どんな行動に出るか、新たな不安が広がっていた。
会社にとって、せっかく雇って教育し、これからという社員に辞められては話にならない。恨み言のひとつも言いたくなるのも分からないではない。
「この間、先月辞めた同僚が会社に来てたんですよ。ひょっこりという感じではありませんでしたね。なにか、こう、周囲をはばかるような雰囲気で」
人気の少ない午後の時間帯を狙って、そっとやってきたのだと言う。かつての仲間の来社にいぶかしんだYさんが声をかけたところ、
「あ、給料を・・・」
とハッキリしない。重ねて聞くと、どうやら偉いさんから
「最後の月の給料は振込みにはしません。欲しければ当社までとりにくるように」
と言われたらしい。そんな話、聞いた事が無い! と驚くYさんに
「円満退社とか、長く務めた人だったら振り込んでくれるらしいんだけど、早くに辞めたらこうして呼び出して、ペナルティとして気まずい思いをしなきゃならないんだって」
と、あきらめたように奥の部屋へ足を進めた。その時、ついたての奥から
「社員でも無い人間が何をしてるんですか?! 勝手に入らないように。用があるならちゃんと受付で案内を乞いなさい!」
という刺々しい声が飛んで来た。人事部長だ。
その声に追われるように、Kさんはもう一度受け付けまで戻っていった。
ちなみにすでに転職済みのKさんは、この日の為にわざわざ休暇を取って来ていた。
「転職早々仕事を休んで、その上イヤミを聞かされるなんて。うちの会社も度量が狭いというか、ケチ臭いというか・・・」
Yさんは我が事のように怒り、会社に幻滅していた。
「君に辞められて大打撃だ。代わりの人間が間に合わない。新しい人を雇っても辞められる。八方ふさがりだ。助けると思って戻ってきてほしい」
元の職場、元の上司からこんな風に懇願されたら、あなたならどうするだろう?その言葉を信じて受け入れ、出戻りを決意した人がいる。
「もともと会社が嫌になったわけじゃなく、他の仕事への興味が強くなったので転職したんです。でもいざ辞めてみると熱が冷めたというか。だから前の職場からこう言われると心が動いて・・・」
と話すのは販売スタッフのJさん。全面的にJさんを頼っての電話に臆する事無くこの話を承諾した。
そして復帰に向けての再面接に出かけたところ・・・
「電話をしてきた上司がいなくて、代わりに人事スタッフが出てきたんです。すでに話は通ってると聞かされていたのに『今? 人手は足りてるよ。君、復帰したいの?(苦笑)』と鼻先であしらわれてしまって」
内部で行き違いがあったのか、それとも復帰に反対する人がいたのか。けんもほろろの対応に、悔し涙で帰ったJさんだった。
一、まずは円満退社が絶対条件
一、スキの無い引き継ぎと、差し支えない連絡方法を残せ
一、出戻りが出来たとしても、前とまったく同じではない。安易な退職・復帰は要注意
作者:浦野 啓子, 村上 直子
出版社/メーカー:宝島社
価格: ¥ 1,155 (税込)
ビジネスシーンで、ピンチな立場を乗り切るアドバイスが詰まった一冊。マンガが面白く深刻になりすぎない。
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