Vol.75 転職 年収ダウンを食い止めろ!
転職で収入アップできれば理想的。しかし現実はダウンする人の方が多い。キャリアを積む以前の若い転職や、異業種へジョブチェンジなどが理由にあげられる。多少ダウンしても転職したい、という人がいかに多いかを物語っていると言える。
そこで今回は年収ダウンの注意点をご紹介しよう。
「同じ業界内での転職。経験がある事をアピールして、向こうの人事もその事を買ってくれてたと思ったんだが、給与の話になると2割減。飛躍的にアップとはいかなくても、多少は評価されると思っていたので驚いた。給与交渉に入ったけど『××社(前職場)はグループ間でのお取り引きが強く、独特の風潮があるのでそのまま当てはめるわけにはいかない。うちのやり方を覚えて貰う間はこの数字でやってもらわなければ、逆に他の社員と公平感が無くなる』とやり返された」(メーカー営業/Dさん)
同業種の転職であっても、他社から来る人間に向けるジャッジの目は厳しい。職場で必要とされ、経験も自信もある人であっても、まったく同じレベルでの横滑り転職なら多少評価が下がる。
これはその職場だけで通用する内部的なキャリア、と判断されたからだ。これを回避するには、職務経歴書などの記述を分かり易く書き、実情がイメージし易いよう解説する事が重要になってくる。
「やりたい仕事だったので転職を決めたのですが、月給にして3万ほどのダウン。しかも残業代も一律で手当も無いので、手取りをアップさせる方法も無し。ほんとに不満大だったけど、これを逃すと次が見つからないかと思い入社を決意した」(デザイン/Yさん)
年収単位でみると、100万円までならば“ちょこっとダウン”のレベル。取り戻せる範囲ということだ。転職者にとっても、抵抗少なく転職出来るダウン額とも言える。
またこの範囲内であれば、転職後3~4年をかけて回復が可能。そのためにも直後の年収ではなく、大きいスパンで判断する必要がある。
転職一年目は様子を見る、職場に慣れるなどの意味を込めて、給与が押さえられている職場もある。そのため2年目、3年目の昇級ベースの確認は必須だ。
若いうちの年収ダウンは、経験を買うという意味では投資の一種になるが、人生設計を固める時期にはかなりの覚悟が必要だ。
「このまま会社に残っても昇進昇級は頭打ち。それならばと一念発起して、異業種へ転職。でも30越えて新卒と似たり寄ったりの収入は精神的にもキツかった。このまま昇進できたとしても前の給料額に届くのはかなり時間がかかる。妻帯してたら出来ない冒険だと思う」(IT/Bさん)
新人には新人に、中堅の年齢には中堅にあった昇級ベースになっている職場が多く、キャリアをリセットするとそこにズレが生じる。結果、年齢があがるほど、ダウンを取り戻すのに時間がかかり、元のレベルに戻り切らない危険性も出てくる。
無論、その覚悟があればいいのだが、
「これぐらいのロスは後の仕事で取り戻す」
「残業とインセンティブで……」
などと思っていると、思うように戻らず痛い目にあいかねない。
一、同業・同種の仕事でも、自己評価よりちょっと下がる
一、転職直後のダウンよりも、3年後の回復率&昇給率を重視する
一、30代でダウンすると復帰が難しい
作者: 森永 卓郎
出版社/メーカー:光文社
価格: ¥ 620(税込)
ご存知、二極分化していく現代日本を最初に切ったベストセラー。本書は続編と合わせて改訂された、新版の文庫化でおトクです。
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