Vol.71 さらに面接でウケたエピソード
前回に引き続き、今週も面接で相手を引き込んだ、転職者のエピソードをご紹介。
共感から内定につながる事もあれば、逆に盛り上がったものの不採用に終わる事もある。大切なのは、ウケること+α。そのαとは?
「ニュースになった某L社の株で損をした話ですね。といっても小遣い程度の出資なので、大きな打撃は受けなかったんですが、時事ネタとしてこの話をするとどの面接でもすごくウケました。『だいぶ損したの?』とか『被害者の会とかに入ってるの?』とか質問続出です。ただ株取引自体に拒否反応を示す人もいましたし、『なんでラ●●ドアの株買おうと思ったの? 胡散臭いと思わなかったの?』と否定的な人や、『ホ●●モンとか好きなんだ(笑)』とビジネススタイルを信奉してると解釈されることもあって、最近はもう言ってません」(金融/Iさん)
誰でも知っているニュースは、話の導入としては最適。しかし応募職種・業界に関連していなければ、ただの雑談で終わることも。
またニュースの捉え方で、応募者の人となりを推し量られる事もあるので、意外に注意が必要だ。
「一番大変だった仕事の説明に、ある従業員の持ち逃げ事件をあげました。採用したばかりの人だったんですが、客先に出したとたん、クライアントの会社にあったものを持ち逃げして行方不明になってしまい、やれ謝罪だの賠償だの、行き先を調べろだのとにかく大変。逃げた社員について調べたらギャンブルにはまってた事が発覚。盗んだものは売りに出すだろうと、店舗に連絡をいれたり、ネットオークションに張り付いて出品をチェックしたり……。最後は網にかかって捕まえることが出来たという話を捕物帳気分で盛り上げて話したんです。でも、ちょっと詳しく言いすぎたんですね。あまりにも事件の詳細をバラしすぎたので、面接担当者に仕事上の守秘義務について指摘されて、一転して気まずい空気に。自分もしゃべりすぎましたけど、聞くだけ聞いといてそりゃ無いよと思いましたよ」(コンサル/Tさん)
今の職場での失敗談や、一番大変だったプロジェクトなどを質問する担当者は多い。
問われた事に素直に答える姿勢は大事だが、話して良いボーダーラインは自分で守る事。守秘義務を縦に何も言わないのでは頑な印象をあたえるが、話しすぎると逆に信用をなくす。社会人としての責任感にも関わる事なので慎重な表現を心がけて。
「メーカーで制作管理をしていたのですが、規模縮小で転職活動中。今までのように現場の仕事につきたいと製造会社などを回っているが、発注側の人間ということで『下請けの仕事に満足できるのか』と警戒されるばかり。焦って『発注側といいますが、実際はワンマン社長のチェックを通らないと何もできません。貧乏性の社長のおかげで余裕のある制作なんかした事はありません』といかに社長のムチャな注文と戦ったかを力説したら、共感してもらえてやっと内定」(メーカー/Gさん)
面接を盛り上げるだけでなく、採用に結びつくトークには共感が必要不可欠な要素だ。採用とは仲間探しと同じ。特に中小企業ではその色合いが濃く、同じ感覚をもっている、同じ気持ちで仕事に向かえるという保証は時には採用の決定打になる。
一、雑談からでもその人の主義思想は読み取られる
一、素直な応対は重要だが、守秘義務を守れないようではかえって不安をあたえる
一、採用に結びつけるには、トークで共感してもらうこと
作者: 橋川 硬児
出版社/メーカー:明日香出版社
価格: ¥1,365 (税込)
テクニックよりもメンタル部分を大事にした、独特のトーク本。話術に自信の無い人、口べたな人は是非一読を。
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