Vol.88 採用の決め手 ホントの理由
優れた人材が採用されるのはあたりまえ。しかし中には不思議な理由や、予想外の要因が内定を呼ぶ事もある。今回は採用の影のエピソードを取り上げよう。
「技術職の採用で、すごい人材が応募してきた。学歴もいいし、職務経歴も申し分無い。この人が入ったら・・・とみんな夢を見たが、マネージャーは
『こんな人材は、うちみたいな会社は長続きしないだろう』
と別の人に決めてしまった。その人は、うちの職場ではポピュラーな地元大学出身で、スキルのレベルもそこそこで不満は無い。
でも釈然としないのは、その後流れたある噂。
『すごい人材を嫌がるのは、マネージャーがその能力を上回る自信が無いから。知ったかぶりの連続で使いこなせない。だからうまくコントロールできるような人しか採らない』
本当だとしたら、今度はマネージャー職を採用してほしい」(IT/Mさん)
技術系の仕事だと、上司より部下の方が知識があったり、スキルがあったりする事もある。そうした格差を越えることは一つの課題だが、手っ取り早くそうした出来る人材を排除する上司もいるものだ。
そんな上司の下で働く苦労もあるので、この場合採用されない方が、お互いのためだったとも言える。
「人材紹介企業に登録しての転職活動。コンサルタントに紹介してもらった会社が、かなりいい感じで選考が進んで内定が出た。退職手続きも済んだころ、突然先方から
『あの話は無かった事に。別に向いてそうな人がいたから。もしうちに入りたいんだった、系列会社紹介するけど?』
などと酷い事を言ってきた。
一方的に内定を覆すのもルール違反なら、直接応募者に連絡とってきたこともルール違反。特にコッソリ別会社に採用しようとした事は、紹介会社の利益を飛ばす行為。
これにはアドバイザーもカンカンになった。
結局、内定取り消しは覆らなかったが、担当のアドバイザーがいたく同情してくれて、
『Tさんの怒りは私の怒りです。何が何でも弊社で次のご縁を見つけさせて下さい!』
と燃え上がり、かなりこまめに企業情報を持ってくるようになった。以前は何だったのかと思うぐらい。その結果スピード内定に至った」(流通/Wさん)
転職雑誌や天職サイトのお手軽さに比べると、少々敷居が高い人材紹介企業だが、一人で戦う天職戦線にアドバイザーがつくというのは非常に心強い。
人材紹介企業は、企業と人材を結びつけ、正式採用となってはじめて企業から紹介料が支払われる仕組みで、転職者には金銭的負担が無い。そういう意味でクライアントは紹介先の企業という事になる。功を焦るコンサルタントが担当になると、企業の希望を優先し、転職者の希望とは違う仕事を紹介してくることも。
そうならない為には、いかにコンサルタントに親身になってもらうか、またこちらも信頼できるコンサルタントと出会うかがポイントになってくる。
「目立った学歴も経歴も無い自分。前の職場は中小メーカーで、総務部という名の社内なんでも屋で、売りになるような専門的なスキルも無い。職務経歴書も書く事が無いので、我ながら『しょーもない』と思うような雑用の苦労話などを、やけっぱちで書いたら、それが受けて内定。
『在庫管理トラブルで、取引先から未納のクレーム多数。その対処にほぼ一人であたる』
『“社長を出せ”コールを水際で食い止めるには下手な嘘は逆効果と体感』
『クレーム対応の電話は最初の3分が決め手と知る』
など、トラブル処理の小ネタ集みたいになったけど、面接担当者がモリモリ読んでくれたのが良かったみたい」(販売代理店/Rさん)
読み物として面白い書類というのはそれだけで魅力的だ。
ただし、無駄な長文は読む気を削ぐ。どんな形式で書くにしても、推敲は必須。
一、応募者と、企業、そしてその社員のレベルが合わないと採用には至らない。
一、コンサルタントにとって、特別な登録者になる。
一、読める、読ませる職務経歴書を書こう。
作者: 田村 仁
出版社/メーカー: 明日香出版社
価格: ¥1,365 (税込)
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